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Channel: LIFE STYLE FEATURE(ライフスタイル特集) | HOUYHNHNM(フイナム)
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We are Good Neighbors. 相場正一郎×濱田大介 ローカリズムの理想を追い求める代々木公園エリアのキーマンたち。

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近年、衣・食・住の距離がどんどん近づいてきています。毎日の生活を快適に暮らすために、自分にとって必要なものを必要なだけすくい取る。そんなナチュラルなスタンスを、地元の仲間達とともに続けている人たちがいます。渋谷、原宿にほど近い代々木公園エリアにお店を構える、「LIFE」の相場正一郎と「Little Nap COFFEE STAND」の濱田大介。彼らが生み出す、肩肘の張らない空気感の秘密とは? 地元を盛り上げるということ、ローカリズムとは? 6月15日にイベントを控えた「LIFE son」にてお二人に語らってもらいました。

Photo_Marisa Shimamoto
Edit_Ryo Komuta

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「東京では公園を自分の庭代わりに使っている人が多い(濱田)」

-お二人はいつ頃から、交流を深めるようになったんですか?

相場: 濱田さんがお店(「リトルナップコーヒースタンド(Little Nap COFFEE STAND)以下リトルナップ」)を3年前に作ったんですけど、それがウチ(「LIFE」)のすごく近所だったので、なんとなく自然な流れで行くようになったんです。

濱田: 僕の方は、随分前から「LIFE」に行ってましたね。

相場: でも、そもそもは〈エンズ アンド ミーンズ(ENDS AND MEANS)〉というブランドをやっている(内山)太郎さんという方がいて、その人を介して知り合ったんですよね。

濱田: そうでしたね。ウチにカタログを置いてたんですよね。

相場: そのカタログをウチのスタッフが持って帰ってきたんです。

濱田: 確かにそんな感じで「リトルナップ」には「LIFE」のスタッフさんがよく来てくれましたね。あと「LIFE」のお客さんも、ランチの後に来てくれたり。

相場: 朝早くからやってるコーヒースタンドが近所にできたっていうのがうれしくて。あんまりこの辺になかったんです。

-そうして自然にお店を行き来するような仲になっていったわけですね。それではお二人が代々木八幡、代々木公園にたどり着くまでの経歴を簡単に教えて下さい。

相場: 僕は高校卒業後に、イタリアに料理修行に5年間行っていました。それで帰国後、原宿に新しくオープンするイタリアンレストランで店長兼料理長を3年間務めて、2003年に「LIFE」をオープンしました。今年で11年目になりますね。そして、2012年には2号店の「LIFE son」もオープンしました。

-「LIFE」ができるまでの経緯は、最近出された著書『世界でいちばん居心地のいい店のつくり方』に詳しいですよね。濱田さんはいかがでしょう?

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濱田: 僕がコーヒーを始めたのは、20代前半の頃ですね。イタリアを回ってバール文化に触れたのもその頃です。その後27歳で独立して、地元の富山でお店をやりながら、コーヒーのトレーナーとか色々なことをしていました。

-相場さんは28歳、濱田さんは27歳、お二人とも20代後半で独立されています。

濱田: そういえばそうですね。それでしばらくして東京にやってきて、渋谷の「トウキョウ ファミリーレストラン(TOKYO FAMILY RESTAURANT)」の立ち上げを手伝うことになったんです。それと、そこのオーナーだった三浦くんが高円寺の「マーブル(Marble)」というカフェをやるときに、コーヒーのお手伝いをさせていただきました。

-当時はいわゆるカフェブームの時代ですか?

濱田: まさにそうですね。

相場: でも、「マーブル」は少し早かったんじゃないですか? 僕らは「マーブル」に行ってた立場だったし。ただ、確かに世代的にはカフェブームのまっただ中ですよね。イタリアから帰ってきたときがちょうどそのタイミングでした。

濱田: 僕は当時、色々なカフェとかレストランにエスプレッソマシーンを納品して、コーヒーの淹れ方を教えていました。当時はきちんとコーヒーを淹れられる人が、そんなにたくさんいなかったんです。ちょうどその頃、イタリアにスローフード協会ができるなど、イタリアという国がコーヒーなどの文化に力を入れはじめたときだったんです。なので、日本でもただ可愛いだけのカフェじゃなくて、きちんとコーヒーを淹れようというカフェが増え始めた時期でしたね。

-それにしても、"カフェ"がとにかく多かったですよね。

濱田: はい。猫も杓子も、でしたよね。お店を出しては畳んで、という。。スタイルだけ真似しているようなお店もなかったとは言いません。

-そういえばですが、奇しくもイタリアという国が、お二人のベースにはありますね。

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相場: 今話を聞いていて、僕もそうだなって思いました。濱田さんって、僕が「リトルナップ」に行くときはたいがいお店にいるんですよ。ウチのスタッフに言わせると、いつもいないらしいんですが(笑)。で、濱田さんの顔を見るとお店に必ず入るんです。その感じって、イタリアのバールみたいだなって思うんです。コーヒーを飲みに行くというのはもちろんなんですけど、そこにいる人に会いに行くというか。

濱田: 確かにそういうところはありますね。イタリアってとにかくバールがものすごくたくさんあるんです。コンビニがない代わりじゃないけど、「バール ジェラテリア」だったり「バール・タバッキ」だったり。新聞屋さんにもエスプレッソマシーンがあるくらい。だから、必然的に自分の行きつけのバールっていうのができるんですよね。

-生活に完全に根付いているんですね。

濱田: そう。「チャオ、ボンジョルノ!」っていうノリです。エスプレッソをサッと一杯飲んで「じゃぁまたね!」みたいなことを、一日何回もやるんですよ。

相場: そうそうそう。

濱田: 最初は衝撃的でしたね。それが、ローカルに根ざした食文化というものを初めて意識したときだったかもしれません。それはローマだろうが、トスカーナだろうが、フィレンツェ、シチリアだろうが、どこに行ってもある文化でした。

-バールは朝から晩までやってるんですか?

相場: そうですね。夜になればバーになるんで。

濱田: イタリアでは、ただ単にコーヒーを淹れるのがバリスタではないんです。カクテルも作るし、アンティパスト(前菜)も出すしっていう。サービスマンというか。"バールマン"っていう言葉があるんですよ。そもそもバーテンダーのことをバリスタというわけで。

相場: そういうイタリアの文化にお互いに触れてきて、ローカルというか、自分に近しい地域を盛り上げたいっていう意識は一緒なのかもしれませんね。こういう話って、濱田さんと改めてしたことなかったですけど。

濱田: 確かに。ローカルで色々シェアしてものごとを作っていくというか。もっと気楽な感じでいえば、「近所においしいレストランがあったらみんなで行こうよ」「俺らの地元楽しいよね」的な感じですよね。昔からそういう気持ちは変わってないです。

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-相場さんは栃木、濱田さんは富山というそれぞれの地元があるわけですが、それぞれのお店がある代々木公園、代々木八幡という土地はどんな場所なんでしょうか?

濱田: 世界中を回ってみて思ったんですけど、どの国でもそれなりの規模の都市には必ずといっていいほど大きい公園があって、その周りにカフェやレストランなどの色々なお店があるんです。代々木公園にもそういう感じはありますよね。それと、東京では公園を自分の庭代わりに使っている人が多いですよね。何の気なしに散歩したり、くつろいだり。

相場: 確かにね。散歩したり運動するために近所の公園を使うということに、そんなに"わざわざ感"がないというか。日々、そういうことを自然にやってる人が多いのかなって。自分もマラソンするんで代々木公園にはよく行きますし。

濱田: 相場さんも週末になると、お子さんたちと水筒とバッグ持って過ごしたりしてますよね。

相場: はい。自分だけじゃなくて、そういう人たちは本当に多いですね。行けば必ず誰かに会いますし。

-濱田さんの言う、"庭"という概念は素敵ですね。

相場: それこそ「リトルナップ」は代々木公園の西門のすぐ近くですし、あのへんにはハンバーガー屋の「アームス(ARMS)」もありますね。

相場: そうなんです。僕はお店をあそこに作る前から、子供と「アームス」に行ってそのあと公園に行くということをよくしていて、その流れがすごくいいなって思ってたんです。さらに、夜には「LIFE」でピザ食べて、一日中あの辺りで過ごせるんですよね。小さい子供がいても全然大丈夫というか。

相場: 改めて思うんですが、「リトルナップ」の場所はすごく良いところですよね。

濱田: 最初は反対されましたけどね。人全然いないじゃんって。でも、僕はお店作るときはあえて、いつも人のいないところに作ってましたね。でも、ここ(LIFE son)も決して人通りという意味では良くはないですよね。

相場: そうですね。このへんもいくつか規制のあるところで、あまり大きな音をたてられないし、深夜営業もできないんです。

濱田: 「リトルナップ」のあたりもそうですね。お店作るときに地域住民の方々に説明をしないと商売できないですし、何よりも住んでる人を優先しているエリアなんです。

-濱田さんは、お店を出す場所をずっと探していたんですか?

濱田: いや全然(笑)。たまたま知人を介して紹介されて、っていう感じでした。なにかをやろうという気持ちだけは、ふつふつとあったんですが、どこでやろうっていうことは全然考えてなかったですね。

-そうなんですね。元々このへんが素敵だなっていう思いと、たまたま合致したんですね。

濱田: そうですね。代々木上原、代々木八幡あたりには本当に素敵なお店が多いんです。チェーン店ではなく個人店というか、ひとつひとつ丁寧にものを作っている方がたくさんいます。

-どんなお客さんが多いんでしょうか?

濱田: ファッション関係の方とかすごく多いですよ。渋谷、原宿、六本木で働いている人がこの辺にたくさん住んでるんで。ただ、渋谷や原宿のお店と違うなと思うのは、みんなオフモードで来るからスタッフとお客さんの距離がすごく近いんですよね。生活の中に自然に溶け込んでるというか。

相場: それはあるかもしれないですね。濱田さんのところは特にそういう傾向がありますよね。

濱田: はい。「Hey! What's up?」みたいな(笑)。ユルい感じですね。

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「朝に色々な人が立ち寄れる場所を作りたくて(相場)」

-ところで、相場さんが「LIFE」を作るときに、このあたりを選んだ経緯を教えてください。

相場: それまで原宿でお店をやっていたので、この辺りに土地勘があったというのも大きいですが、それよりもお店を出すとなったときに渋谷、原宿というような規模が大きいエリアだと、個性的なことをやればやるほど個性が消えていくような感じがしたんです。自分の好きなものってやっぱりそんなに変わらないし、色々考えた結果、自分の個性が一番輝くだろう場所が、代々木八幡の商店街だったんです。

-商圏の大きいエリアだと埋もれてしまうというか。

相場: そうですね。このへんであれば目立てるというのもあったし、人も結構いるしという。あとはうちの親父がこの辺りを見て、「この商店街には活気があるからいいんじゃないか」と言ってくれたのは自信になりましたね。ただ、当時は今ほどお店はなかったですけどね。

濱田: 面白いなって思うのは、街ってひとつキーになるようなお店ができることで、フッと輝き始めるんですよね。そのお店の周りに、また一つ、また一つと違うお店ができはじめて、どんどん色鮮やかになっていくというか。

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-なるほど。それまであまり人通りがなかったエリアに人が集まり始めるのには、必ずきっかけとなる何かがあるんでしょうか?

濱田: 絶対あると思います。僕はそれがレストランだと思うんですよね。NYとかも、そんなにパッとしなかったエリアに、良い感じのレストランができると、その周りに洋服屋さんとかクラブができ始めたりしましたし。それと、結局主役はお客さんなので、その辺りに集うみなさんがどういう風にお店を使ってくれるかも大きなポイントですよね。

-そういう意味では、代々木八幡、公園エリアはいかがでしょう?

濱田: 僕はやっぱり「LIFE」が大きいんじゃないかと思います。

-相場さんはどう思われますか? 「LIFE」ができる前と、後とを比べてみて。

相場: 僕自身にはそこまでそういう意識はないんですが、ひとつ思うことはあの辺りって、なかなかいいサイズの物件が空かないんで、「LIFE」ぐらいの大きなお店を作れないんですよね。なので「LIFE」にみなさんが集まってくれたというのはあるかもしれません。ただ、僕からすれば大きく変わったのは、「リトルナップ」ができたここ3年ぐらいだと思います。また新たな色が出てきたというか。一番変わったのは、外部からも人が来るような街になったところですね。それまでは近隣の住人たちに愛されるような街だったんですけど、濱田さんみたいな発信力の強い人が入ってきたことで、その部分に変化が起きました。

-なるほど。

相場: 濱田さんが、だいぶ遠くの方まで発信したと思います(笑)。「LIFE」のお客さんにも影響がありますよ。週末のお客さんの感じはだいぶ変わりました。

濱田: 確かにここ2年くらいで、あの一帯は変わったかもしれませんね。あと、コーヒーカルチャー的には「フグレン(FUGLEN)」ができたのも大きいですね。

相場: あっ、「フグレン」は確かにそうですね。大きいかもしれない。

濱田: ですよね。あとはその後に「PADDLERS COFFEE(パドラーズ・コーヒー)」が参宮橋の「LIFE son」にできたりして、駅を一つ進むごとにいいコーヒー屋さんが一つあるっていう状況でしたよね。なので、コーヒー業界に関していえばわりと連携が取れていたというか。元々僕ら3店舗は仲がよかったので。

-確かにここいらあたりは充実してますね、コーヒーを飲むには。

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相場: あとは、パンでいえば、「ルヴァン(Le vain)」という巨匠の名店が富ヶ谷にあって。で、そこで修行した樽井さんが、「LIFE son」で「TARUI BAKERY」を始めて。それはやっぱりザワザワしてきますよね。

濱田: ですね。コーヒー好き、ごはん好き、パン好き、音楽好きがみんな集まってきましたよね。あと代々木八幡には「ニューポート(NEWPORT)」もあるし。

-お二人の場合は、食以外のカルチャーを積極的に取り入れて色々な活動をされてますよね。

相場: 濱田さんのイベントは、わりと音楽寄りですよね。僕は常に食寄りですが。

濱田: まぁそうですね。食には最高の音楽があったらいいな、というのはずっと思ってきたことなんで。こないだは「YOYOGIG(ヨヨギグ)」という音楽イベントの2回目を代々木上原の家具屋さん「アーケストラ(ARKESTRA)」でやりました。3回目はぜひ「LIFE」でやりたいですね(笑)。小池アミーゴさんとか、共通の知りあいもいますしね。

相場: ぜひぜひ。

-今回「LIFE son」で行われるイベント「life sunday morning market」は、「朝」にフォーカスしています。

相場: そうですね。この辺りの方たちは、土日に朝から動いている人が多いので、そういう人たちが立ち寄れる場所を作りたいなと思ったのがきっかけです。あとは2年前に見た、サンフランシスコの「タルティーヌ・ベーカリー(TURTINE BAKERY)」にも影響されてます。

-著書にも書かれてましたね。

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相場: そうなんです。あそこは毎日朝から営業をしていて、すごく盛り上がっているんですよね。で、夜は「バー・タルティーヌ(BAR TURTINE)」が営業をしていて。そのスタイルがすごく魅力的で、いつかやりたいなと思っていたんです。だから夜の営業があんまりよくなければ、いっそ朝方のお店にしてもいいな、とは常に思っているんです。ただ、今は夜にもお客さんが来てくれるので、このスタイルでいきますけどね。「LIFEson」はそういった"実験"をしているお店でもあるんです。

-普段は、それこそ近隣のお客さんが中心なんですか?

相場: もちろんお近くの方が多いとは思うんですが、けっこう色々なところから来てもらっているような気がします。近場の全域というか。代々木上原、代々木公園、代々木八幡、駒場東大前、初台、参宮橋、西原とかそういう感じですね。

濱田: イベントのときはすごく遠くから来てくれる方もいますよね。

-次回で3回目を迎える「life sunday morning market」ですが、毎回かなりの動員があるんですよね。

濱田: いやもうすごいですよ。僕もこないだちょこっと行ったんですけど。すごい人でした。なので、注文もけっこう待つ感じなんですけど、それがあんまりいやな雰囲気じゃないんですよね。それすらもみんな楽しんでるような気がして、すごくいいなって思いました。

相場: パンだけを買って行かれる方もいますし、コーヒーをテイクアウトするだけのお客さんもいるので、利用の仕方は人それぞれなんですが、それぞれが上手に時間を過ごしてくれていたような気がしますね。

-次回(6月15日)はどんなイベントになりそうなんですか?

相場: それをまだ決めてないんですよね。ちょっと今打ち合わせしてもいいですか?(笑)

濱田: うーん、なにやろうかな??(笑) 最初ゆるーい感じで話をもらったんで、いつもの通りの気ままな感じでいこうかなと思ってたら、お客さんがとにかくすごいし、オペレーションどうしようかなーって(笑)。

-初回のゲストが栃木県黒磯の「SHOZO CAFE」の菊池省三さん、そして二回目が鎌倉の「cafe vivement dimanche」の堀内隆志さんでした。

濱田: そう、それを聞いて「わー、大御所だなー」って(笑)。

相場: オープンから、1時間半ぐらいは確かにわーっときますね。

濱田: ですよね。アシスタントいないとまずいかなぁ? 「PADDLERS COFFEE」の松島くんにお願いしようかなって(笑)。

-舞い戻る感じで(笑)。

濱田: そうそう。手伝いましょうか?なんて言ってたから。

相場: いいですね。ぜひぜひ呼んでくださいよ。彼らもまだ路面店はないので。(2014年6月現在は、明治通り沿いの「TODD SNYDER TOWN HOUSE」の2Fに拠点を置く)

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-さきほどもお話に出ましたが、みなさんそのあたりは仲良しなんですね。

濱田: それこそ、「PADDLERS COFFEE」の松島くんは自分で始める前に、僕のところに相談に来たんですよ。そのときに「日本のコーヒー屋を回るんだったら、もう世界に行っちゃえよ」ってけしかけたんです。世界って言っても、お店ではなくて農園です。お店で出してるコーヒーがどうやって作られてるかを、自分の目で見るだけで全然違うよって。そしたらその話をした一ヶ月後ぐらいに、本当にグアテマラに行って。

-行動力ありますね。

濱田: そう。そのとき、これからはこういう子だなって思いましたね。バリスタとしてどれだけのキャリアがあって、とかそういうことじゃなくて、バーンって飛び込んでいくやつの方が輝くなって。それからしばらくしたら「実は『LIFE son』でやらせていただくことになりまして」って。しかも「豆は『スタンプタウン コーヒー ロースターズ(Stumptown Coffee Roasters)』のものを使うことになりまして」って。えー!っていう(笑)。

-ポートランドを代表するコーヒーロースターですもんね。

濱田: そう。だから、勉強ばっかりして内に閉じこもってるような人より、どんどん外に出て吸収して、"出会って"いけるような人の方が成長が早いと思うんです。僕もそういうタイプだったんで。その方がケミストリーが生まれるんですよ。あと、いきなりお店をやるんじゃなくて、まずショップインショップという形でやるのは、今の時代にすごく合ってるなって。「LIFE son」はお客さんもすごくいい感じだし、そこで美味しいコーヒーを飲めるなら言うことないねって。

相場: 松っちゃんは濱田さんにちょこちょこ相談してましたよね。

濱田: ですね。急にお店やったら、ぶつぶつ文句言われるんじゃないかって、ビビりながら相談に来ましたけどね(笑)。あと「フグレン」も最初ずっと相談に来てましたね。

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「地元の人たちと色々なことをやっていきたいんです(相場)」

-「LIFE」で働いていた方は、今までに何人ぐらい独立されたんですか?

相場: 7人ぐらいですかね。コックとして同じ会社に長く勤めているような方もいるんですけど、やっぱりうちみたいなお店に来る子は、だいたい独立志望ですね。僕もそのへんの確認は最初にします。

-濱田さんのところはいかがですか?

相場: そろそろ"リトルナップジュニア"が出てきてもいい頃ですよね?。

濱田: そうだといいんですけどね。。でも、「LIFE」で働いてる人がすごいなって思うのは、相場さんが言うように独立心をきちんと持ってるし、学んできたことを形にしたいっていう熱い思いを持ってる子が多いんですよね。みんなうちのお店に相談しにきてくれるんで、よく知ってるんです。だから、そういう風に思ってくれるようになるスタッフとの接し方はすごく勉強になりますね。休みの日でも一緒にサーフィン行ったりしてるんですよね? 僕なんかたまに誘ったら「いやー」みたいな感じでかわされたりしますからね(笑)。

相場: いやいや、そんなことないでしょ(笑)。仲いいじゃないですか。

濱田: 「LIFE」は労働時間長いし、しかもランチとディナーの間のアイドルタイムに、公園に一緒に走りに行くっていう話を聞いたときにびっくりして。どんだけ「LIFE」好きなんだよっていう(笑)。

相場: いやいや、あれは俺が走ってるからとかではなくて、みんなそれぞれ走ってた子だったりするんですけどね。

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濱田: いやー、でもかっこいいなぁって。そういう信頼関係ができた上で、料理というベースがあり、表現したいライフスタイルがあって。まさに「LIFE(生活)」をともにして身につけてきたことを、クリエイティブにお店に表現していくっていうことをきちんと意識してるんだなぁって。みんないい顔してるんですよ。

相場: でも、濱田さんも、お店をやるっていうこと自体は随分長くやってますよね?

濱田: まぁそうですね。一緒に共有していくことも多いので、コーヒー以外に好きなものがある人を採用するようにはしてますね。自分はこれが好きなんだ!っていうものがある人というか。

-今、濱田さんはスタッフ何人いるんですか?

濱田: アルバイトをいれて、7人ですね。

相場: 僕から言わせると、コーヒーで7人ってほんとすごいですよ。なかなかできない。

濱田: 実質3店舗あるので、お店には1人から1.5人なんですよね。労働時間も長いし、けっこう肉体労働でもあるので、まぁ大変なんですよ。ただ、どれだけ忙しくても1人で回せないとダメですね。そのわーっと忙しいときを乗り越えたときに見えるものがあるっていうか。自分で工夫するようになるし。食らいついてくれないと困る。なぜだかウチは女の子が多いですね。

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相場: 男の子の応募来ないですか?

濱田: いや、来るには来るんだけど、うーん、っていう。こないだようやく一人24歳の男の子入りましたけどね。僕的には俄然男の子が欲しいんですが(笑)。

相場: ウチは男の子多いですね。重い物持ったりすることも多いですし。

濱田: コーヒー屋も1日300杯出すとなると、なかなか大変ですよ。

相場: 確かにそうですね。

-今回のようなイベントをやることで、"街起こし"ではないですけど、自分の地元を盛り上げたいという意識はあるんですか?

相場: もちろんありますね。今回まさにそれを試みてるという感じです。ただ、1年目はベースとなるものを築かないといけないので、まず「life sunday morning market」を盛り上げて、このエリアの人に浸透させる。だから今は第三日曜日の朝にイベントを一緒にやってくれる人を募っていきたいんです。まずは共通のDMを置くぐらいから始めて、それが3年後ぐらいには色々な形に広がっていればいいいなぁって思ってます。

-なるほど。

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相場: だから、濱田さんみたいに近所の人と何かをやるっていうのは、個人的には意義深いんです。初回、二回目のときには、近隣ではないところから省三さんと堀内さんに来ていただきましたが、お二人は独自のスタンスで地域との関係性を気づいてきた先輩だなという思いがあったので。省三さんは、まさに黒磯を盛り上げようという意識の元にお店をやられている方です。堀内さんはそれとは少し違うんですが、でももう20年鎌倉でお店をやっていますしね。

濱田: ですね。もうなくてはならないお店ですよね。

相場: だから、本来であれば地元の人たちと色々一緒にやっていけたらいいいなと思うんですが、まずはサンプルがないと始まらないので、今少しづつ仲間を増やそうとしているところです。

-今後のイベントの方向性は決まってるんですか?

相場: まだそこまできちんとは決まってないですが、青山の「ファーマーズ マーケット(Farmer's Market )」の方たちが、ここで出してくれるかもしれません。ベースにモーニング=朝食を出すということがあって、それにひとつふたつ要素が加わるといいなと思っているんです。

-その組み合わせに無理がなくて、とてもいいなと思いました。

相場: 福岡で「カフェ ウィーク(CAFE WEEK)」っていうイベントをやった人がいるんです。2週間の期間中にそれぞれのカフェが色々なイベントをやるっていう。そのへんにも少し影響を受けてるかもしれません。「ソネス(sones)」とか「トレネ(trene)」っていう、良い感じのカフェがあるんですよ。

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濱田: こないだ広島でも、そういうイベントがありましたよね。広島出身の谷尻誠くんたちがやってました。

-なるほど。全国規模でそうした動きがあるわけですね。それではそろそろ最後の質問になります。これは個人的に気になっていることなんですが、最近よく見かけるファッションとして取り上げられる"ライフスタイル"についてはどのように思われますか?

濱田: うーん、僕はなんでもそうなんですが、友達が作ったものを着たり、食べたりすることが多いんです。なるべく顔が見える仲での関係性というのがいいなって。だから、流行とかはあまり関係なくて、自分がいいなと思うものを身につける、口に入れる。それでいいかなと思うんです。なので、最近のやや押しつけがましいライフスタイル提案みたいなものには、少しげんなりしています。

相場: まぁ、何でもかんでもHow Toみたいになってるのが多いかもしれませんね。僕もいわゆる"ライフスタイル的"な企画でよく取り上げていただくんですが、例えば自分の家を取材してもらうと、部屋にすごく生活感があることに驚かれる方が多いんです。見た目をかっこよくするためだけに家具や道具を配置しているわけではないので、当然生活感はあるんですよ。つまり、そういうことを自然にやってる人があまりいないから、お話をよくいただくんじゃないかなって思います。でもHow Toみたいなことが全部悪いわけではないと思いますけどね。それがファッションだとも思いますし。

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-これはある方が仰っていたんですが、「ライフスタイルとはなにか?それはリアリティだ」と。自分にとってリアルなことを積み重ねていくことで、"ライフスタイル"になっていくんだと。自分もそれはその通りだと思いました。なので、フイナムとしても流行っているからということではなくて、本当にいいなと思えばやるし、そうでなければやらない。そういう当たり前のことを大事にしていきたいなと思っているんです。

濱田: そうですね。一時期流行ったものがしばらくするともう古い、という感じでさらっと流すことはやめてほしいなと。ある程度じっくり育てたり、積み重ねたりすることでようやくカルチャーになるわけで。育てる、育むっていうことを大切にしたいと思うんです。

-はい。色々なことをきちんと自分の目で見て判断して、決めていきたいなと思います。今日はお二人ともどうもありがとうございました! ひとまず6月15日のイベントには自分もお邪魔させていただきます!

ife sunday morning market
日程:直近は6月15日(日)(4.5.6.9.10.11月の第3日曜日に開催)
時間:AM8:30~
場所:LIFE son
住所:東京都渋谷区代々木4-5-13
電話:03-6276-1115

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